連合福島は、福島県の復興と再生に構成組織の連帯と力強い支援で取り組んでいます。風評被害を払拭し東日本大震災から一日も早い復興を目指そう!

2021秋季生活闘争方針について

 Ⅰ.取り巻く情勢と課題

1.国内と県内の情勢

 2021年4~6月期の国内総生産(GDP)は、前年比の年率換算で1.3%増加し、2四半期ぶりにプラスとなったものの回復の戻りは鈍い。特に個人消費は0.8%増に止まり、相次ぐ緊急事態宣言が影響している。また、地域間で消費の差があり、大都市や中規模の都市が持ち直しの基調にあるのに対し、人口の少ない小都市や町村では回復が鈍い。要因として、コロナ禍によって地域経済の柱である観光業への打撃、外出自粛が緩んでいることが背景にある。さらに、世界的な半導体不足も景気回復の足かせとなっている。テレワーク拡大によるPC用半導体の需要増や自動車市場への回復、米中経済摩擦も不足に拍車をかけ、経済全体への影響が懸念される。また、東南アジアを中心としたコロナ感染拡大とロックダウン(都市封鎖)で、関連部品の調達が難しくなっており、国内メーカーへの影響が予測される。

 福島県内の状況は、日銀短観(福島県分・9月調査)発表で、業況判断D.I.は製造業で▲4ポイント、非製造業は▲1ポイントとなっており、昨年同月(製造業▲39ポイント、非製造業▲8ポイント)比較では持ち直しの傾向が見られる。製造業では、業務用機械・輸送用機械がプラスに転じており、昨年度の大幅減少の反動、あるいは市場全体が回復傾向にある。非製造業では、対事業所サービスや建設が好調、運輸や宿泊・飲食サービス業が苦戦しており、業種間で格差が広がっている。また、変異株に置き換わった新型コロナウイルス感染症は全国で広がりをみせ、福島県においても「まん延防止等重点措置」は、中核市(いわき・郡山・福島)を対象とした。飲食店への利用制限や商業施設への入場制限など、様々な行動制限によって、県内経済の悪化は深刻さを増している。

2.国内と県内の雇用・労働を取り巻く環境

直近の雇用情勢は、完全失業率が2.8%と最悪期を脱し改善傾向にある。就業者数は2カ月連続で増加。失業者は、大幅に減少しており、雇用環境は改善している。県内の、8月の有効求人倍率は、1.29倍で前月を0.05ポイント下回ったが比較的高い水準で推移している。一方、新型コロナウイルス感染症の影響に起因する企業倒産件数は18件(本年10/1現在)、解雇等(解雇・雇止め)は、昨年の2月から本年8月30日まで累計で1,365人(うち非正規761人)となっていることから、今後の動向を注視する必要がある。

3.連合2021春闘

(1)要求・妥結状況

要求を提出した組合は6,558組合、うち月例賃金改善(定昇維持含む)を要求した組合は5,920組合となり、昨年同時期に比べて544組合増加した。妥結済組合は4,771組合で、うち賃金改善分を獲得した組合は1,277組合であった。賃金改善獲得率は26.8%で、昨年同時期(34.3%)を下回った。

 (2)賃上げ

①平均賃金方式

平均賃金方式で要求・交渉を行った組合のうち4,772組合が回答を引き出し、その加重平均は5,180円・1.78%となった(昨年同時期比326円減・0.12ポイント減)。

②個別賃金方式

個別賃金方式で要求・交渉を行った組合のうち、A方式 35歳の引上げ額・率が1,197円・0.44%、同30歳は679円・0.28%、B方式 は35歳が7,819円・2.87%、同30歳が7,778円・3.41%となっている。

 (3)賃金の絶対額にこだわった要求

月例賃金改善(定昇維持含む)を要求した5,920組合のうち、「賃金水準の追求」にこだわって要求した組合は3,240組合だった。「構成組織の目標水準指標に則り要求を行った組合が昨年を大きく上回った」「自社の賃金水準を把握した上で、構成組織の到達水準を要求根拠として交渉した結果、有額回答を勝ち取った」など、「自社の賃金水準」を意識した取り組みが前進している状況がみられた。

 (4)有期・短時間・契約等労働者の賃金引き上げ

有期・短時間・契約等労働者の賃上げの回答水準は、時給で加重平均19.91円(同7.20円減)、単純平均16.38円(同8.80円減)と、いずれも昨年同時期を下回った。平均時給は、加重平均1,038.77円、単純平均1,023.96円となった。月給は、加重平均3,667円・1.72%(同2,645円減・1.30ポイント減)、単純平均3,480円・1.64%(同648円減・0.38ポイント減)となっており、いずれも昨年同時期を下回った。参考値ではあるが、時給の賃上げ率は1.95%となり、一般組合員(平均賃金方式)を上回った。

 (5)「すべての労働者にたった働き方」の見直し

①長時間労働

「長時間労働の是正」に関する要求は、のべ6,744件、回答は、のべ2,441件となった。「36協定の点検や見直し」「年次有給休暇の取得推進に向けた取り組み」「事業場外みなし労働者、管理監督者も含めたすべての労働者の労働時間管理・適正把握の取り組み」などを中心に回答が引き出された。

 ②有期・短時間・契約等で働く労働者の雇用安定や処遇改善の取り組み

「有期・短時間・契約等で働く労働者の雇用安定や処遇改善の取り組み」に関する要求は、のべ3,411件、回答は、のべ1,366件となった。2021年4月から中小企業にも同一労働同一賃金が適用されることを受け、「正社員への転換ルールの整備と運用状況点検」「無期労働契約への転換促進および無期転換ルール回避目的の雇い止め防止と当該労働者への周知徹底」や賃金制度の整備や一時金・福利厚生などについて前進がみられた。

4.連合福島2021春闘

  (1)要求・妥結状況

 ①平均方式、定昇・賃金カーブ維持による要求と妥結

要求した組合は199組合となり、昨年より3.3%増加した。平均方式の要求額は4,031円(1.44%)と昨年比1,883円減少、妥結額は3,147円(1.31%)と昨年比26円の増加。定昇・賃金カーブ維持組合の要求額は6,975円(2.58%)と昨年比725円の減少、妥結額は5,300円(1.96%)と昨年比252円の増加。平均方式と定昇・賃金カーブ維持方式の合計は4,806円(1.82%)と昨年比393円の増加となったが、個別組合で比較すると昨年とデータが比較できる組合の52.5%が妥結額の減少をし、妥結額「0円」の組合は14組合あった。

②格差改善、賃金の底上げ・底支え

連合本部集計との比較では、全体として本部を上回る賃上げとなった。また、中小(300人未満)においては、昨年同等の賃上げ率となった。連合福島集計においても全体と中小の格差は存在し、特に2018年春闘以降は0.2%前後で推移していたが、今年度は0.3%と格差の広がる結果となった。

③個別賃金の要求と妥結状況  

闘争に取り組んだ約1割(18組)個別方式による要求・交渉・回答になっているが、これも昨年0.2~1.5千円の回答が、今春闘では0.5~1.2千円と昨年比で回答額が減少した結果となった。

 (2)構成組織・加盟組合への闘争支援

①地域情勢を踏まえた闘争方針の作成・提案

連合本部方針を基本として、地域の課題である人口動態や震災復興状況、県内の景況感や労働者の生活実態など、県内の足下の状況を反映した。また、新型コロナウイルスによる2021春季生活闘争の振り返りを闘争方針に盛り込み提起した。

②交渉期間における構成組織・加盟組合との情報共有

構成組織・地区連合の春闘オルグは、新型コロナウイルス感染症対策を徹底した上で情報共有をはかった。

 ③2021地域ミニマムの集計・分析と要求組立への支援

構成組織の理解と協力のもと、地域ミニマムの集計・分析を行い「第2回組織センター(1月21日開催)」で報告。賃金の底上げ・底支えの実態や重要性について提案した。参加組合54組合(昨年比+5)、8,256名分(昨年比+1,592)のデータ集約となった。

 (3)現時点での受け止め(評価と課題)

 ① 賃上げの流れが継続

賃金改善の取り組みから8年が経過。「賃金引上げ」については、すべての組合が月例賃金にこだわり、賃上げの継続と定着を意識した闘争であった。景気後退によって回答結果に若干の影響は見られるものの、212組合中199組合が要求し158組合が回答を得ている。さらに、平均要求(定昇維持含む)の回答ではコロナ禍の厳しい状況の中で昨年より微増であるが賃上げの上昇が得られており、連合本部の賃上げ率と比較して引き上げ率が上回った。中でも1,000人以上の大企業における賃上げが大きい。今後もこの賃上げの流れを継続するため、連合福島としての推進力が求められる。

② 闘争の見える化と地域課題の共有

闘争方針に足下の県内情勢を加え、地域での賃金引き上げの必要性や働き方の見直しなど、春季生活闘争での課題解決を目的とする春闘方針を提起し、加盟組合の要求組立~交渉を支援した。また、地域単位で春闘学習会の実施を行い春闘方針・現状認識・課題の共有化をはかった。

Ⅱ.闘争体制の確立

1.連合福島「2021秋季生活闘争推進本部」の設置

(1)設置目的  連合福島2021秋季生活闘争の「取り組み課題」を具体的に推進するため。

(2)設置時期  連合福島第13回執行委員会(2021.10.7)で設置する。

(3)役員構成  本 部 長  (連合福島会長)

副本部長 (連合福島副会長)

事務局長 (連合福島事務局長)

事務局次長(連合福島副事務局長)

本 部 員  (連合福島執行委員)

2.地区連合「2021秋季生活闘争推進本部」の設置

(1)設置目的  連合福島2021秋季生活闘争の「取り組み課題」を地区において具体的に推進するため。

(2)設置時期  10月の各地区連合幹事会において設置。

(3)役員構成  連合福島推進本部に準ずる。

Ⅲ.取り組み課題と方針

1.連合福島の課題と方針 

(1)新型コロナウイルス感染症の影響と実態把握

「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の再発令やその期間が延長されコロナ禍の収束が見通せない中、その影響は、「観光」「飲食」「運輸」など特定の産業に依然として重くのしかかっている。また、セーフティネットが脆弱な層への深刻さが増している。今後の経済状況や新型コロナウイルスの影響を注視しながら、労働組合として最重要課題である雇用の確保、これまでに協力頂いた連合福島アンケート調査を定期的に実施し実態把握に努め生活の維持・向上をはかっていく。一時金闘争では業績悪化に連動し、厳しい環境の中での交渉が想定される。交渉状況の共有・実態把握するとともに新型コロナウイルス対策本部と連携をはかり、その把握と綿密な連帯、支援行動をとる。

(2)賃上げの流れを継続し地域全体の広がりをめざす

2021秋闘は春闘の賃上げの流れを継続し地域全体の広がりを目指すことで、「すべての労働者の賃金底上げ・底支え」や「規模間格差・雇用形態間格差」など、あらゆる格差の是正をはかる。

(3)労働関連法への取り組み

さまざま労働者関連法が適用されているなか、法律の趣旨と内容を理解したうえで各職場に活かされることが重要となる。「パートタイム・有期雇用契約法(同一労働同一賃金)」の施行、また、2021年4月に改正高齢者雇用安定法が施行されたことから、連合福島として、これらの法案に対する労使の理解を深めるため、必要に応じた周知活動を行う。

 (4)すべての働く者の底上げ・底支えの取り組み

すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」をはかる観点からも、まずは、福島県最低賃金940円(連合リビィングウェッジ)の早期実現に向けて取り組む。また、特定最賃に関しては「健全な産業の発展」、「公正競争の適正化」の観点から優位性を持った水準に引き上げる。

2.連合福島としての運動の基軸

連合福島の課題のもと、連合福島、各構成組織、地域・地区連合が一体となり以下の取り組みを進める。

① 連合アクション行動を通じた世論喚起

②「なんでも労働相談・メンタルヘルス相談」の強化期間の設定と対応

③ 雇用確保を前提とした、企業縮小・閉鎖、倒産などへの対応

④ 急激な業績悪化で生じる雇用や労働課題への行政、関係機関への要請行動

⑤ 公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み

⑥ 年末一時金闘争の取り組み

⑦ 労働関連法に関する取り組み

⑧ 福島県最低賃金(828円)の周知と特定最低賃金の引き上げの取り組み

⑨ 2022春季生活闘争に向けた準備と、さらなる強化に向けた取り組み

⑩ 広報活動の取り組み

Ⅳ.具体的な取り組み

1.連合アクション行動取り組みの継続・強化

新型コロナウイルス感染症拡大による雇用状況の悪化、非正規労働者を中心とした解雇・雇止め問題や秋闘における一時金闘争等を広く地域社会・勤労市民への共感・共鳴の輪を拡げるため実施する。ただし、開催には新型コロナウイルス感染症の影響を考慮する。

2.「なんでも労働相談・メンタルヘルス相談」の強化期間の設定について

長時間労働問題を軸に、最低賃金改定周知、雇用、権利擁護、労働条件などの相談に応じるための「なんでも労働相談ダイヤル」を連合福島・組織センターとの連携により設定する。また連合福島独自の取り組みとして福島県立医大との連携の基「メンタルヘルス相談ダイヤル」をあわせて設定し、11月末に実施する方向で調整する。

3.雇用確保、企業縮小・閉鎖、倒産などへの対応

8月の福島県の有効求人倍率は1.29倍で前月から0.05ポイント減少したが、比較的高い水準で推移しており改善傾向がみられる。県内の景気は、一部持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いている。この状態が続くことで倒産や事業縮小の企業も増加が懸念される。今後の県内企業の動向を注視し、事象が発生した場合には関係構成組織や行政機関と連携しながら対策を講じると共に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響調査を定期的に実施する。また、雇用悪化に対する支援策を行政機関や労働局に対して求めていく。

 4.公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み

人事院は、8月10日、政府と国会に対し、2021年度の国家公務員の月例給については、民間給与との較差が極めて小さいとこから、改定しないこととした。一時金は、公務が民間を上回ったことから▲0.15ヶ月分とするように勧告した。新型コロナウイルスの影響により2年連続で月例給の改定しない勧告となった。また、人事院勧告は公務員だけではなく、中小企業の中にはある程度の指標にしている企業もあることで人事院勧告の結果によっては広範囲な影響が懸念される。2006年勧告の給与構造改革以降、「制度は国、水準は地場」が基本となる中で、地方における公務労働者の闘いは、県人事委員会勧告に向けた取り組みが焦点となってくる。特に、中央同様、月例給、一時金ともに地場の水準が引き上げ勧告に結びつくかは、復興需要の陰りも囁かれる本県では不透明な状況にある。連合福島は、労働者全体の底上げの観点で、公務労働者の賃金闘争のヤマ場に向け、連帯し取り組みを支援するとともに民主的な公務員制度の確立に向け、引き続き、関係する組織と連携し、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする公務委員制度改革の実現をめざしていく。

5.年末一時金闘争の取り組み

一時金は、組合員の生活給として年収の確保の視点で取り組む。また、業績悪化から例年は秋闘を実施しない組合でも一時金の交渉をする場合が想定される。このことから、年末一時金に取り組む構成組織・加盟組織から支援要請があった場合、連合福島・地区連合推進本部が一体となり、必要な支援行動をとる。

6.労働関連法に関する取り組み

働く人すべてが安心・安定して働ける職場環境をめざし、長時間労働の是正や年間総労働時間の縮減に向けた取り組みを行う。また、少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮できる環境を目的として2021年4月の改正高齢者雇用安定法が施行されたことから、学習会等による法改正の周知、および世論を喚起する取り組みを行う。

7.福島県最低賃金の周知と、特定最低賃金引き上げへの取り組み

県最低賃金周知(11月に新聞掲載予定)・なんでも労働相談ダイヤルチラシを発行し、県民に改正された最低賃金(時間額828円)を周知する。また、特定最低賃金専門部会審議にあたっては、企業内最低賃金のほかに各産業における実態賃金やパート労働者の賃金・高卒初任給などの絶対水準を重視し、例年どおり地域別最低賃金の上げ幅(地賃対比110%以上の確保)も意識して、可能な限りの引上げをめざす。今年は5業種すべての審議入りとなったことから、業種間の相乗効果を高めながら、有額回答にこだわる審議を行なう。

8.2022春季生活闘争の準備とさらなる強化に向けた取り組み

(1)第1回組織センター委員会

  • 日 時  2021年11月(別途調整)
  • 場 所  福島市・ラコパふくしま
  • 内 容  2022春季生活闘争中小共闘方針の素案づくり、他

(2)地域ミニマムデータの収集について

地域ミニマム運動は、地域の低賃金の底上げ、格差是正などを解消するため「これ以下では働かせない」取り組みとなる。近年、能力成果主義賃金の浸透により個々の格差は広がっている。賃上げ配分は若年層にシフトしており中高年齢層の賃金引上げが難しく、地域ミニマム水準を下回るケースが散見される。中央と地方の格差、規模間格差、男女間格差など、地域ミニマムの実態把握とデータの活用を共有化により是正をはかり、実効性のある取り組みとする。

9.広報活動の取り組み

(1)教宣資料を作成・配布するとともに、地場・中小組合を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しながら必要に応じてオルグを実施する。

(2)福島県最低賃金(時間額828円)の周知及び「なんでも労働相談ダイヤル」・「メンタルヘルス相談ダイヤル」に関する周知チラシの発行。

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