2.重点分野-2
安心社会とデーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進
コロナ禍は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を一層加速させる一方で、社会的セーフティネットの脆弱性も露呈させた。社会の不確実性が高まる中、「連合フォーラムとの連携、国・地方自治体・政党への働きかけなどを通じた政策の実現」、「三者構成を原則とした雇用・労働政策の推進」、「労使関係基盤を背景とする賃金・労働諸条件の向上と社会横断化」を運動の基軸に据え、すべての働く者のため、重点政策の実現と労働条件改善に引き続き取り組む。
1.政策の実現に向けた取り組み
(1)連合福島は、コロナ禍で未だ強まる感染不安と明らかとなった社会の脆弱性、新しい生活様式の戸惑いと課題、相次ぐ自然災害への防災・減災の対応、国際情勢に起因する原油、原材料の不足による生活必需品の相次ぐ値上げ、円安、深刻化する人口減少や格差拡大などの解決にむけ、働く者・生活者の視点・立場で取り組みを進める。
(2)県づくりの指針や、施策を示す県の最上位計画に位置付ける「福島県総合計画」の進捗を見極め、県の重点施策実現に協力する。
(3)連合福島の「要求と提言」策定は連合福島政策委員会および専門部会を設置し、課題別分野ごとに構成組織から精通した委員の選出を行い、必要に応じ学識経験者の助言や行政、関係団体との意見交換を行う。
(4)また、コロナ禍によるメンタルヘルス影響調査で明らかとなった性差、女性の課題等については、女性の視点を重視した意見集約に努める。
(5)政策立案能力を高めることを目的に連合主催の会議への積極的参加と要請も行い、連合福島主催による研修会等を通じて、課題解決の専門的知識を深める。
(6)緊急性を要する課題が生じた場合には、その都度、地方自治体や関係機関に要請を行う。
2.各地域・地区連合における政策・制度の取り組み強化
(1)各地区連合は、連合福島の「要求と提言」を基本に、地区実情を踏まえながら、市町村へ提出する取り組みを行う。
(2)推薦首長や組織内議員をはじめとする支援議員との意見交換の場を設け、政策実現のコミュニケーションを深めながら、政治参画意識を高める。
(3)連合福島は、各地区連合の取り組みを把握し、統一対応による政策・制度要求の充実・強化をはかる。
①「最低賃金の引き上げ早期発効を求める意見書」の提出(3月議会目途)
②「地方財政の充実・強化を求める意見書」の提出(6月又は9月議会)
③その他関連する政策への意見書提出は、随時提案し対応する。
3.すべての働く者のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策の推進
(1)コロナ禍の感染状況や雇用情勢を注視しつつ、雇用調整助成金の休業制度および産業雇用安定助成金による在籍出向の活用につながる取り組みを推進する。
また、地域の産業・雇用創出と働き手確保、働き手のニーズと円滑なマッチングを図るため、行政や経営団体等と連携をより強める。
(2)連合が掲げる法改正等についての重点政策は、以下の対応をはかる。
①無期転換ルールについて、運用実態を踏まえたうえで、有期契約労働者の保護にかかる課題の解決に向けた見直しに取り組む。
②働きづらさを抱える者が、安心して継続的に働き続きられる社会の実現に向け、障がい者に対する合理的配慮とともに、仕事と治療の両立支援の充実を推進する。
③外国人労働者について、外国人技能実習法にもとづく制度の厳格な運用を求めるとともに、特定技能制度の見直しにおいては、受け入れ状況などの実態を把握し、安易な受入れ分野の拡大を認めない。
(3)「働き方改革関連法」の定着をはかるため、36協定の適正化の徹底や労働時間把握など長時間労働の 是正に継続して取り組むとともに、県内の政労使で構成する「魅力ある職場づくり推進協議会」では、「働き方改革・非正規雇用者の正社員転換・女性の活躍推進」を引き続き提言する。今年度より、女性の活躍に関する情報公表項目として「男女の賃金差異」が追加されたことから、その趣旨と内容について、周知徹底をはかる。
また、「働き方改革関連法の同一労働・同一賃金」の趣旨と内容について、セミナーの開催や街頭活動、世論喚起など重層的取り組みを通じ実現目指す。
(4)労働災害を撲滅する観点から、物理的な職場環境の改善とともに、メンタルヘルス対策に取り組む。また、雇用形態に関わりなく、誰もが適切な安産衛生教育を受けられるよう労働行政への取り組みを進める。
(5)不当な解雇を誘発しかねない解雇の金銭解決制度について、連合本部や構成組織と連携し、導入阻止に向けた周知活動に取り組む。
(6)働く者すべての処遇改善や労働環境整備に向け、労働行政や経営者団体への要請や課題提起はもとより、労働関係分野での各種委員会・審議会への派遣・参加によって労働環境改善の意見を反映させる。
(7)集団的労使関係構築に向け、過半数代表の選出手続きの厳格化など、周知活動に取り組む。特に、36協定締結おける過半数代表者の選出には、民主的な手続きなど適格性が求められており、課題共有と周知活動については組織内に限らず、地域全体の課題として取り組む。
4.賃金・労働諸条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化
(1)春季生活闘争や通年の労使協議を通じ、「賃上げ」「すべての労働者の立場に立った働き方の実現」と、あらゆる格差(企業間格差、雇用形態間、男女間、地域間)の是正をはかるとともに社会横断化を促進する。加えて、県内の経済・雇用情勢や労働の実態把握、春季生活闘争の課題と情報を組織全体で共有しながら、交渉への後押しと支援につなげる。
(2)中小企業経営基盤の強化と地域社会の活性化をはかるため、働き方も含めた「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」の実現と賃金引き上げによる個人消費の拡大など「経済の好循環」を目指す目的で、経営者団体への要請や連携をはかる。
(3)コロナ禍における新しい生活様式を取り入れた「豊かな生活時間の確保とあるべき労働時間の実現」をはかる。
(4)福島県最低賃金を労働の対価としてふさわしい水準に引き上げ、社会的セーフティネットとしての機能強化と同時に、地域間格差を解消する水準引き上げによって地域経済の好循環を目指す。また、最低賃金近傍で働く者の労働条件の改善に取り組む。
連合福島のリビングウェイジ990円の到達、最終的には「誰もが時給1,000円」の早期実現を目指す。特定(産業別)最低賃金については、基幹労働者賃金の横断的な決定システムであることから、同一労働・同一賃金の原則に基づき、各産業での基幹労働者にふさわしい水準確保に取り組む。
(5)春季生活闘争の際の学習会、総決起集会、オルグ活動等は、実施を原則とするが、パンデミックなど状況を加味しながら、開催方法を検討する。
5.東日本大震災からの復興・創生に向けた取り組みの継続
(1)連合福島は、復興需要のピークアウトの影響を注視しつつ、ポスト復興・創生に向けた課題に対し、国・県・市町村をはじめとする関係機関と連携し取り組みをすすめる。
(2)県内で生産出荷される食品・商品について、風評被害の状況を十分に把握し、全産品への支援を国・県・市町村に対して継続して求める。
(3)避難による住民の心のケアや帰還に向けた支援の強化を国・県・市町村に求める。
(4)連合の実施する復興実態調査に積極的に協力し、復興庁への提言や復興予算獲得など支援の継続に繋げ、復興の加速化を推進する。