相談Q&A(雇用関係 [解雇、契約解除])

Q.新型コロナウイルスの影響による会社の経営難を理由に解雇すると言われた
A.解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効(労契法第16 条)。労基法上の手続きとしては、少なくとも30 日前に労働者に対して予告をするか、予告をしないときは平均賃金の30 日分以上の支払いが必要(労基法第20 条)。

ポイント
【無期契約の場合】
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により会社の経営が厳しいことを理由とした人員整理に伴う解雇の場合でも、労働者には理由のない解雇ですから、整理解雇の4要件(①人員削減の必要性があったか、②解雇を回避するための努力がされたか、③解雇となる対象者の選定に公平性などがあったか、④説明や協議がきちんとされたか)を満たしていなければなりません。会社にきちんとした説明を求め、話し合いを通じて解雇が回避できるよう対応を求めましょう。

【有期契約(期間途中の解雇)の場合】
使用者は「やむを得ない事由」がある場合でなければ、期間途中の解雇はできません(労契法第17条)。「やむを得ない事由」は通常の解雇事由よりも厳しく判断され、不当な解雇の場合、使用者は少なくとも期間満了までの支払い義務を負います(民法第536条2項)項)。期間途中の解雇を受けざるをえない場合は、期間満了までの賃金を請求しましょう。

【有期契約(期間満了による雇止め)の場合】
有期 契約 は期間が満了すれば契約が終了するものですが、 更新を繰り返して無期契約と実質的に異ならない場合や反復更新の実態、引き続き雇用されると期待 させる使用者の言動、契約書の更新に関する記載(更新の有無・内容)など、様々な事情をもとに合理的な期待が認められる場合は、使用者は解雇ができない場合もあります。これらに当てはまれば期間満了ではあっても雇止めを回避することができます。

Q.今回の新型コロナウイルスに関連して、会社から退職を求められたり、解雇されそうになった場合は、どうしたらいいでしょうか。
A.解雇や雇止めなどに関するご質問やご相談については、最寄りの労働局・労働基準監督署のほか、「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口(※)」や、「労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)」などをご利用ください。(※)新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/index_00004.html

ポイント
今回の新型コロナウイルスを理由として、会社が退職を求めてきた場合であっても、それに応ずるかどうかはあくまでも労働者の自由であり、労働者の自由な意思決定を妨げる退職の求めは違法な権利侵害にあたる可能性があります。また、会社が労働者を解雇しようとする場合でも、直ちに解雇が認められるものではなく、労働関係法令などにより、以下のような決まりがあります。
① 業務上の傷病による休業期間及びその後30日間や、産前産後の女性の労働基準法第65条の規定による休業期間及びその後30日間は、解雇が禁止されていること(労働基準法第19条)。
② 上記①に当たらない場合でも、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となること(労働契約法第16条)。
また、整理解雇(経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇)については、裁判例において、解雇の有効性の判断に当たり、
(1)人員整理を行う必要性
(2)できる限り解雇を回避するための措置が尽くされているか
(3)解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であるか
(4)労働組合との協議や労働者への説明が行われているか
という4つの事項が考慮されること。
③ 有期労働契約の場合、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇をすることはできないこと。期間の定めのない労働契約を結んでいる場合の解雇よりも、解雇の有効性は厳しく判断されること(労働契約法第17条第1項)。
④ 使用者は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないこと(労働基準法第20条)。

Q.今回の新型コロナウイルスに関連して、有期労働契約の雇止めをされそうになった場合は、どうしたらいいでしょうか。
A.解雇や雇止めなどに関するご質問やご相談については、最寄りの労働局・労働基準監督署のほか、「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口(前述)」や、「労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)」などをご利用ください。

ポイント
今回の新型コロナウイルスを理由として、会社が有期労働契約の雇止めをしようとする場合でも、直ちに有期労働契約の雇止めが認められるものではなく、労働関係法令などにより、以下のような決まりがあります。
① 有期契約労働者から、労働契約の更新の申込みがあった場合、その方の雇止めについては、以下のいずれかに当たると認められる場合には、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、これまでと同一の労働条件で、その申込みを承諾したものとみなされること(労働契約法第19条)。
(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
② 有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、雇止めの予告をしなければならないこと(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第2条)
(※)有期契約労働者の解雇について、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間は、労働者を解雇することができないこととされています。(労働契約法第17条第1項)。