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なんでも労働相談Q&A

Q 仕事で負傷したが、「労災扱いにはしない」と言われた。

A 労災保険は、雇用形態のいかんを問わずに全ての労働者に適用される。


労災保険は、原則として全産業・全事業所が強制加入であり、雇用形態に関係なく、雇用される労働者全員が適用対象となる(労災法第3条)。業務上または通勤途上で労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合等について、被災労働者またはその遺族に対し所定の保険給付を行う制度である。

労基法第9条には「労働者とは、職業の種類を問わず、事業場に使用される者で賃金を支払われる者をいう」と規定されている。従って派遣労働者やパートタイマーはもちろん、学生アルバイトもここにいう労働者である。
また、建築関係など個人事業主や中小企業主も一定の要件を満たせば特別加入することができる(労災法第33条〜第36条)。
労働災害については、業務遂行性および業務起因性があったかどうかで判断される。
『業務遂行性』とは、労働者が労働契約にもとづいて事業主の支配下(指揮命令下)にある状態であり、そのもとで、業務起因性があることによって労働災害であることが認定される。『業務起因性』とは、負傷・疾病・死亡と業務の間に因果関係があったか否かで判断される。例えば、業務中であっても同僚との間で私的なけんかをした場合には業務起因性があるとは認められない。
あくまでも業務に起因することがポイントである。


<精神疾患に関する労災認定基準>
うつ病などの場合については、「心理的負荷による精神障害の認定基準」(2011.12)にもとづいて判断される。
その主なポイントは、
①心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
②いじめやセクシュアル・ハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象と     して心理的負荷を評価することにした。
③精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定したなどの点である。


労働災害の申請は、医師の診断書など必要書類を添えて、被災者本人または遺族が労基署に対して請求する(請求内容によって書式が労基署に備えてある)。

通常は、会社が労基署に対して代理申請するが、これは手続きを代行しているにすぎない。
会社が証明を拒否する場合もあるが、その場合には会社の証明印がなくても、本人または遺族が労基署へ申請することもでる。

業務の過重やパワハラや違法な業務を命じられたなど具体的出来事によって、その強度の基準(平成13年(2001年)12月12日付基発第1063号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」)が示されている。時間外労
働時間の長さにより判断される長期間の過重業務に関しては、発症前1カ月間におおむね100時間、または2カ月間ないし6カ月間にわたって1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働があるとの状況が認められると、業務と発症の関連性が強いと
評価される。
また、上記基準が見直され(令和3年(2021年)9月14日付基発第0914第1号)、上記の時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働を行った場合には、労働時間以外の負荷要因(休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務、その他事
業場外における移動を伴う業務、心理的・身体的負荷を伴う業務、等)の状況も十分考慮し、業務と発症との関係が強いと評価できることが明確化されている。

労働時間の把握は使用者の義務だが、自己防衛術として、時間管理をしない事業所の場合、普段から自分で手帳やパソコンで出退勤について記録しておくことが必要であるとのアドバイスも有効である。
使用者は、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業している期間とその後30日間は、労働者を解雇できない(労基法第19条1項)。
この解雇制限は通勤災害には適用されない。
療養開始後3年を経過しても治らない場合において、労基法第81条にもとづいて打切補償(平均賃金の1,200日分)が支払われたときは、解雇制限は解除される(労基法第19条第1項、第81条)。
なお、療養開始後3年経過した時点で傷病補償年金を受けている場合には3年経過の時点、療養開始後3年以上経過してから傷病補償年金を受けることとなった場合は年金を受けることとなった時点で、上記の打切補償が支払われたものとみなされ、解雇制限は解除される(労災法第19条)。

Q 有期労働契約を反復更新してきたが、次回の更新は無いと言われた。

A 雇止めには、解雇権濫用法理が適用される場合がある。


期間の定めのある労働契約(有期労働契約)であっても、更新を繰り返して期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているような場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇権濫用法理(労契法第16条)が類推適用される場合がある。


 有期労働契約は、期間が満了すれば契約が終了するものだが、期間満了後も労働者が働き続け、使用者もこれに異議を述べなかった場合には、黙示の更新があったものとされ、同一の労働条件での契約が締結されたものと推定される(民法第629条第項)。

 

契約の形式が有期労働契約であっても、契約が期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態で存在していた場合や、業務内容の恒常性や当事者の言動・認識、契約更新の状況などから、労働者が雇用継続を期待することに合理性があると認められる場合には、解雇権濫用法理が類推適用される。この場合、雇止めに、客観的合理的理由と社会的相当性が認められない場合は、契約が更新されたのと同様の法律関係が生じるとされている(労契法第19条)。

 なお、法律では、契約期間満了までの間に労働者が更新の申込みをした場合と、契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の申込みをした場合の雇止めの無効性を想定しているが、労働者からの「申込み」はできるだけ明確な形(書面など)で行っておくことが望ましい。また、雇止め後に争う場合には、団体交渉の申入れや労働審判の申立て等は早期に行い、労働者の意思表示を「遅滞なく」行っておく方がよい。

 

雇止めを巡るトラブルが多いことから、使用者が講ずべき措置について厚生労働大臣が基準を定めている(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)。

[雇止めの予告]
 使用者は、①雇入れの日から1年を超えて継続勤務している場合、②3回以上更新されている場合には、有期労働契約を更新しないようにするときは、少なくとも、契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない(基準第1条)。
[雇止めの理由の明示]
 労働者が更新しない(更新しなかった)理由について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく交付しなければならない(基準第2条)。


[契約期間の配慮]
 使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態およびその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない(基準第3条)。

<参照条文> 労契法第16条、第19条、民法第629条第1項

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