連合福島は、福島県の復興と再生に構成組織の連帯と力強い支援で取り組んでいます。風評被害を払拭し東日本大震災から一日も早い復興を目指そう!

2022年~2023年度運動方針

 Ⅰ.はじめに

連合福島は第32回定期大会で、2年間の運動方針を確立し、第33回年次大会で運動方針補強を行った。そして、構成組織・加盟組合、地域・地区連合は、その方針のもと職場・地域で力強く運動を進めてきた。

運動方針は、連合ビジョンの「働くことを軸とする安心社会―まもる・つなぐ・創り出す―」を基本に、「①動の領域と重点化、②組織体制・運営、③人財の確保と育成、④財政など、4つの改革パッケージによる運動領域」を重点項目に掲げた。

福島県の独自課題とした東日本大震災、令和元年東日本台風からの復興・再生、若者の県外流出を始めとした、労働人口の減少と社会構造の著しい変化、さらにコロナ禍で浮き彫りになった社会の脆弱性などについては、つぶさな検証と柔軟な対応を図った。

Ⅱ.情勢認識と課題

1.社会情勢について

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年~2021年の世界経済は未曾有の危機に見舞われ、人やモノの移動が大幅に停滞し、経済に深刻な打撃を与えた。日本も政府や経済界が、感染抑止と経済再開の両立を模索する「ウィズコロナ」は、期待されたワクチンの遅れや変異株のまん延で第5波ともいえる急激な感染拡大で実現の困難は増している。特に、深刻さを増す医療体制は崩壊が現実味を帯びており、関係従事者のさらなる負担に加え、国民の命が脅かされている事態となっている。

また、世界的な気候変動に伴い日本でも自然災害の頻発・激甚化がすすむ。豪雨災害が国内各地で頻発し、甚大な被害の発生が国民の生活や生命を脅かしている。

こうした中、SDGs(持続可能な開発目標)の推進やESG投資の拡大など、世界全体の包摂的な成長への期待が高まっている。また、地球温暖化対策として政府が宣言した2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」の動向を注視しながら推進していく。

2.経済・雇用情勢について

直近の経済情勢では、4~6月期の国内総生産(GDP)は前年比の年率換算で1.3%増加し、2四半期ぶりにプラスとなったものの回復の戻りは鈍い。

特に個人消費は0.8%増に止まり、緊急事態宣言が影響している(8月16日内閣府発表)。

また、地域間での消費回復の差が明らかになっている。大都市や中規模の都市が持ち直しの基調にあるのに対し、地方の小都市や町村では回復が鈍い。要因として、コロナ禍によって地域経済の柱である観光業への打撃、コロナ慣れで都市部の外出自粛が緩んでいることが背景にある(8月14日総務省家計費調査)。

さらに、世界的な半導体不足も景気回復の足かせとなっている。テレワーク拡大によるPC用半導体の需要増や自動車市場の回復、米中経済摩擦などが不足に拍車をかけ、経済全体への影響をおよぼしている。

雇用情勢について、完全失業率はコロナ前(2018~2019年)2.4%程度で推移していたが、コロナ感染拡大が顕著となった2020年以降、2.8~2.9%と悪化している。一方、雇用調整助成金を活用した休業者数はピーク時で600万人超、直近の6月でも180万人を超えており、失業者数の急激な増加への抑止効果が明らかになった(総務省統計局調査)。これら、失業者の内訳をみると、正規雇用に影響は少ないものの、非正規雇用で前年比125万人の減少、特に女性の非正規雇用が79万人と大幅に減少している。正規を含め男性の雇用が大きく落ち込んだリーマンショック時とは対照的な数字を示している。

 3.政治情勢について  

(1)昨年の9月、安倍政権から菅政権への交代から一年が経過した。高い就任当時の支持率は新型コロナウイルスをめぐる政府対応で降下し、国民不在・無視の政権運営の露呈が拍車をかけた。そして起死回生のオリンピック・パラリンピックでも回復は見込めず、国政や地方選挙の惨敗も重なり、政権維持の危険ラインとされる3割前後まで降下した。

その後、菅首相の自民党総裁選への不出馬表明(9月3日)に始まり、コロナ禍での緊急事態宣言中にも関わらず、4人の候補による総裁選が実施された。結果として、岸田文雄総裁・総理が誕生し、新政権のもと10月4日の国会召集、14日解散、19日公示、31日投開票とすることを発表した。就任後のわずか10日後に解散、1ヶ月足らずで総選挙に臨むという前代未聞の短期決戦となる。

(2)昨年7月より、野党の「大きな塊をつくる」ことを目的に、立憲民主党・国民民主党・社会保障を立て直す国民会議・無所属フォーラムの2党2グループは、合流協議を重ねたが、基本政策の不一致もあり、新党への合流には至らなかった。その後も連合が仲介役となり、ポストコロナ時代を踏まえためざすべき社会像に関し、共有する理念について「命とくらしを守る新しい標準(ニューノーマル)を創る」を取りまとめるなど、三者(立憲民主党・国民民主党・連合)での合意をめざした。以降、国政や地方選挙おいて、立憲民主党と共産党の共闘などもあり、両党(立憲・国民)の溝は埋まらなかった。また、今年7月に連合と両党(立憲・国民)との政策協定は、個別の取り交わしとなり、非公開で行っている。

 また、9月には国民民主党を除く野党4党(立憲民主党、社民党、れいわ新選組、日本共産党)と市民連合の間で「命を守る新しい政権の実現をめざす野党共通政策」に合意。野党連携を進める環境は整ったとして、小選挙区候補者の一本化など、選挙協力の調整が進むことが予想される。

(3)コロナ感染拡大は長期に及び、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が幾度となく繰り返され、外出自粛と活動制限などにより、GDPの過半を占める個人消費を直撃、あらゆる産業に甚大な影響を及ぼしている。多くの国民が苦境に立たされ、脆弱なセーフティネットのなかで、社会から孤立する者や生活困窮者が増加している。また、感染拡大により医療現場は崩壊の危機にあり、国民の命は危険にさらされている。戦後最大の国難ともいわれるなか、政治の力なくして、この未曽有の危機には対応できない。しかし、政府の対策は後手にまわり、これまでの施策の繰り返しで迷走を続けている。

 4.福島県内の情勢について

(1)東日本大震災と原発事故から10年が経過した。県民の懸命な努力と国内外からの支援によって着実に復興が進んでいる。相双地区を中心に、公営住宅や商業施設、医療・介護施設など、帰還・移住等に向けた生活環境整備や東北中央自動車道(相馬~福島)の全線開通、常磐自動車道(いわき中央IC~広野IC)4車線運用開始など、社会資本の整備が進められた。

しかし、いまだ3万5千人(令和3年6月現在)を超える県民が避難生活を続けているだけでなく、住民帰還、被災者の生活再建、風評と風化、産業の再生など、多くの課題が存在しており、その道のりは長く険しいものとなっている。

また、コロナ感染から県民の命と健康を守るため、震災復興の象徴として開催されたソフトボール・野球競技の無観客開催や、関連するイベントは中止を余儀なくされた。

(2)一年半におよぶコロナ感染拡大によって県内経済は変動を繰り返している。直近の日銀短観(福島県分・6月調査)発表では、業況判断D.Ⅰ.は製造業で▲13ポイント、非製造業はゼロポイントとなっており昨年同月比(製造業▲46、非製造業▲13)では持ち直しの傾向がみられる。製造業では、電気機械・輸送用機械がプラスに転じており、昨年度の大幅減少の反動、あるいは市場全体が回復傾向にある。非製造業は、対事業所サービスや小売りが好調、運輸や宿泊・飲食サービスは苦戦が続き、業種間で格差が広がる。

直近では、変異株に置き換わった新型コロナウイルス感染症は全国で広がり、福島県も「まん延防止等重点措置」は中核市(いわき・郡山・福島)を対象とした。今後、飲食店の利用制限や商業施設の入場制限など、様々な行動制限によって、県内経済の悪影は深刻さを増している。

(3)コロナ禍において、働くもののメンタルヘルスに深刻な影響がみられる。

 福島県立医科大学災害こころの医学講座による2019県民健康調査では、「何らかのうつ病、不安症が疑われる」が約3割と全国平均でも高い水準にある。さらに2020年に実施した連合福島との共同調査では約5割と急増している。業種別・性別の傾向として、公務・公共や運輸・交通の女性において、メンタルヘルスがより悪化している傾向がみられた。また、コロナ関連のストレス要因として、「感染不安」「日本経済の不安」「外出や社会交流の減少」などがあげられる。「外出や社会交流の減少」はコロナ禍において孤立・孤独への対策を講じた社会的交流のあり方などの検討が求められる。

(4)福島県の推計人口(2021年7月現在)は、1,817千人で、前年より14千人減少している。内訳として自然増減が▲1,039人、社会増減▲349人であり、転出が転入を上回る状況が続いている。一方、東京圏(千葉、埼玉、東京、神奈川)の人口は増加し、日本の総人口の約3割を占めることで一極集中がさらに拡大している(令和3年6月総務省統計局)。人口密度が高いところでの新型コロナウイルス感染拡大は明確であり、一極集中のリスクが顕在化したといえる。

厚労省「2020年賃金構造基本統計調査」、総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、賃金水準と転出者増減には相関関係が見られ、賃金の低いところから高いところへの移動(転出)が顕著になっている。地方での待遇や企業の働き方などを見直さない限り、これらの抜本的な対策にはつながらないとしている。特に、福島県の最低賃金は低位(2020年現在800円)にあり、人口流出の一要因となっていることから更なる引き上げが求められる。

 5.この1年間における取り組みの検証

経済のグローバル化の進展と市場原理主義が蔓延し、コロナ感染拡大が社会や経済、そして労働運動にも大きな影響を与えている。不安定雇用の拡大、中間層の収縮や貧困・格差の広がりなど、セーフティネットの脆弱性が浮き彫りになっている。そして、長期化するコロナ禍は、組合員の雇用・賃金・労働条件のみならず、健康をも脅かしている。また、労働運動や日々の諸活動で重視してきた対話の必要性を再確認し、様々なコミュニケーションを模索した一年でもあった。

 (1)「新型コロナウイルス感染症」の影響と対応

長期にわたる感染症拡大は、社会や経済に大きな影響を与えている。連合福島は、新型コロナ対策本部の設置以降、定期的に「新型コロナ感染症に関わる影響調査」を実施し、それらがおよぼす影響と課題の変化を把握し、行政や使用者団体要請の基礎データとした。具体的には、加盟組合企業の損益悪化が、雇用や労働条件に影響をおよぼしたことや、影響を制御するため、雇用調整助成金活用での長期の休業対応を余儀なくされている実態など報告された。これら内容は構成組織内で共有すると同時に世論喚起と社会の課題とするため、マスコミを通じて発信してきた。また、「コロナ禍における生活・雇用対策」としては、職域における円滑なワクチン接種や失業なき労働移動を目的とした在籍型出向など、行政(県・市町村・労働局)や経営者団体への要請を行った。このなかで、集団・職域接種の要請と合わせ、事情により接種できない人への差別・偏見(同調圧力)にも配慮が必要なことを付加した。

県内の在籍型出向の活用は14件(4~7月実績)に止まっている。その理由として、「人員が余剰している送出し企業(出向元)」の申請が少なく、人財のマッチングが進まない状況にある。制度の趣旨である「失業なき労働移動」はもとより、企業の人財育成支援を目的とした制度の周知が求められる。

 更に感染者やその家族、医療従事者への差別・偏見、誹謗・中傷がしゃかい問題となった。連合福島は東日本大震災当時の経験と依頼の感謝の気持ちを医療従事者に伝え、差別・偏見などをなくす取り組みとして、「DO・もーバッジプロジェクト」に取り組んでいる。さらに支援の拡大、浸透をはかる取り組みを進める。

(2)2021春季生活闘争の取り組み

コロナ禍での2021年春季生活闘争となり、労使交渉の前提となる経営環境は悪化傾向にあり、「景気のK字型」と表現されるように業種・企業間の格差が拡大している中での闘争となった。連合福島は環境が悪化し成果獲得が難しいからこそ、労使交渉の意義・重要性を構成組織・加盟組合と確認した。昨年の春闘は、コロナ禍によって集会での意思統一と社会へのアピール、オルグ等を通じた単組組合員との意思疎通ができなかった反省に立ち、今春闘では感染予防の徹底と構成組織・加盟組合の協力を得て終えることができた。

春闘妥結結果は、8年連続の賃金引き上げの流れを継続し、平均賃金上げ額は4,806円、引き上げ率は1.82%と昨年比で増加、連合全体の1.78%をも上回った。コロナ禍において、労使交渉や取り組みが制限される中での賃金引き上げは、一定の評価ができるもの、格差(規模間、雇用形態間、男女間など)がいまだ存在する中、実態把握とその改善の具体的な取り組みの充実と強化が必要となる。

(3)政策。制度実現の取り組み

連合福島は、県内で働く人すべての生活の安定・向上を目的として、政党や議員、首長との連携による政策・制度要求と実現に取り組んでいる。今年は衆議院議員の任期満了、あるいは混沌とする政治情勢の中、解散総選挙も視野に取り組んだ。そして、候補者擁立、支援の枠組みは、連合福島を中心とする5者協議会(立憲民主党・国民民主党・社会民主党・県民連合・連合福島)を適時開催。県内1~5区の候補者擁立を検討し、全ての区で予定候補者が確定した。また、任期満了に伴う県内首長(市町村長)の選挙が行われた。連合福島は、当該地区連合の連携のもと、推薦・支持の決定を進めた。結果、国見町長選(支持)、郡山市長選(推薦)、いわき市長選(推薦)のいずれの候補者も当選を果たすことができた。今後、任期満了を迎える市町村長選挙も、当該地区連合との連携をより深め、推進・支持の決定と支援の取り組みが必要となる。

 (4)組織強化・拡大の取り組み

昨年の年次大会では、連合福島組織拡大2030プランを提案し、2030年に組織人員9万人の目標を掲げた。この一年間は組織センター委員会を通じ、構成組織・地区連合とのコンセンサスづくりに取り組んできた。ただ、現状は企業の縮小・撤退などで人員削減に歯止めがかからず、何とか8万人を維持している。今後は構成組織・地区連合との連携により、未組織の関係会社・取引先企業等の組織化を重点に、多くの組織で集団的労使関係が構築できるよう推進する。

(5)最低賃金の取り組み

福島県最低賃金は28円の引き上げにより828円となった。昨年の中央最低賃金審議会の「目安金額示さず」から一転して、過去最高額となる目安金額28円(A~Ⅾランク)が提示され地方審議会に伝達された。

地方審議会では、使用者側から「コロナ禍での経済実態を無視した目安額は容認できない」とし、労働側は「コロナ禍での支出増により働く者の生活実態がより厳しくなっている」と主張し膠着状態が続いた。最終的には公益側見解で採決となり、公益・労働側の賛成で結審した。春季生活闘争の結果と成果を「働く者全体の賃金引上げに波及させること」を目的としたこの取り組みは、労働側委員の強い主張と多く署名(113,133筆)により引き上げが実現できた。

今後の課題として、県内で働く人が最低限の生活を送れる水準(リビングウエッジ:940円)への到達、そして地域による格差が存在しない全国一律1000円の実現を求める。

 

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