2024秋季生活闘争方針について
Ⅰ.取り巻く情勢と課題
1.国内と県内の情勢
今次春闘では、昨年以上の賃上げ率となり、高い伸びが徐々に賃金に浸透しつつあることに加えて、夏の賞与支給額が堅調に増加し、定額減税の実施によって可処分所得が増加するなど、個人消費を取り巻く環境は、良好な状態に向かっている。
これに対し、足元では、物価高・円安への懸念、南海トラフ地震への警戒感、酷暑・大雨といった天候不順によって支出が抑制されるリスクがあるうえ、コロナ禍明け後のサービス支出の回復が一巡しており、個人消費の伸びが大幅に鈍化する可能性がある。さらには、頻発する自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
引き続き春闘での賃上げ率の大きさ、それを受けての個人消費の動向が景気の先行きを左右するポイントとなる。人手不足の状態と企業業績の改善が続く中で、前年を下回るとはいえ、好調な企業業績と深刻な人手不足を背景に2025年も高めの賃上げ率が見込まれるうえ、輸入物価の上昇圧力が一巡する中で国内の物価上昇率も鈍化すると予想され、内需を中心に景気回復が続くと予測される。
福島県内の状況については、「緩やかな持ち直しを続けているものの、そのペースでは、鈍化している」として、景気判断を3か月連続で維持とした。
今後の行先きについて、物価上昇や賃上げによる個人消費への影響、海外経済の動向が、生産に与える影響など注意していく必要がある。
昨年来より、未来づくり春闘「人への投資」を掲げ、月例賃金の改善に取り組みを進めてきた。2024春季生活闘争では、ステージを変える一歩となった。その流れを秋季生活闘争に波及させていく。
Ⅱ.闘争体制の確立
1.連合福島「2024秋季生活闘争推進本部」の設置
(1)設置目的 連合福島2024秋季生活闘争の「取り組み課題」を具体的に推進するため。
(2)設置時期 連合福島第22回執行委員会(2024.10.4)で設置する。
(3)役員構成 本 部 長 (連合福島会長)
本 部 長代行 (連合福島会長代行)
副本部長 (連合福島副会長)
事務局長 (連合福島事務局長)
事務局次長 (連合福島副事務局長)
本 部 員 (連合福島執行委員)
2.地区連合「2024秋季生活闘争推進本部」の設置
(1)設置目的 連合福島2024秋季生活闘争の「取り組み課題」を地区において具体的に推進するため。
(2)設置時期 10月の各地区連合幹事会において設置。
(3)役員構成 連合福島推進本部に準ずる。
Ⅲ.取り組み課題と方針
1.連合福島の課題と方針
(1)賃上げの流れを継続し地域全体の広がりをめざす。
2024秋闘は春闘の賃上げの波及効果の地域全体の広がりを目指すことで、「すべての労働者の賃金底上げ・底支え」や 「規模間格差・雇用形態間格差」など、あらゆる格差の是正をはかる。
(2)労働関連法への取り組み
2024年4月以降トラックを含む自動車運転者の労働時間の上限が960時間に制限される「物流の2024年問題」。
生産性の更なる向上と、適正な取引価格の設定による賃金の上昇で、人的資源の確保等による労働環境の向上に向け取り組
みを強化する。
(3)すべての働く者の底上げ・底支えの取り組み
すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」をはかる観点からも、まずは、福島県最低賃金を1,000円以上(連
合リビィングウェッジ1,060円)の早期実現に向けて取り組む。
また、特定最賃に関しては「健全な産業の発展」、「公正競争の適正化」の観点から優位性を持った水準に引き上げる。
2.連合福島としての運動の基軸
連合福島の課題のもと、連合福島、各構成組織、地域・地区連合が一体となり以下の取り組みを進める。
① 連合アクション行動を通じた世論喚起
②「なんでも労働相談」強化期間の設定と対応
③ 価格転嫁への対応
④ 公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み
⑤ 年末一時金闘争の取り組み
⑥ 労働関連法に関する取り組み
⑦ 福島県最低賃金(955円)の周知と特定最低賃金の引き上げの取り組み
⑧ 2025春季生活闘争に向けた準備と、さらなる強化に向けた取り組み
⑨ 広報活動の取り組み(マスコミとの連携)
Ⅳ.具体的な取り組み
1.連合アクション行動取り組みの継続・強化
雇用状況の悪化、非正規労働者を中心とした解雇・雇止め問題や秋闘における一時金闘争等を広く地域社会・勤労市民への共感・共鳴の輪を拡げるため年3回実施する。
2.「なんでも労働相談・メンタルヘルス相談」の強化期間の設定について
長時間労働問題を軸に、最低賃金改定周知、雇用、権利擁護、労働条件などの相談に応じるための「なんでも労働相談ダイヤル」を連合福島・組織センターとの連携により設定する。
3.公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み
人事院は8月8日、政府ならびに国会に対して、2024年の国家公務員給与改定について、月例給を11,183円(2.76%)引き上げ、一時金の支給月数を年間4.60月(昨年比0.10月増)とすることを勧告した。俸給表については、大卒初任給を23,800円、高卒初任給を21,400円引き上げるとともに、若年層からおおむね30歳台後半に重点を置きつつ、俸給表全体を引き上げた。3年連続で月例給、一時金が引き上げられたこと、1992年以来32年ぶりに月例給の引き上げが2%を超えたことは、2024春闘における民間組合の懸命な交渉の成果を反映したものであり、組合員の期待に一定応える内容といえる。一方で、寒冷地手当見直しや、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」における扶養手当見直しなど、地域や職員によっては削減となる項目があることは、物価高騰下での組合員の厳しい生活実態を踏まえれば不満の残る内容となっている。今後は、すべての働く者へ賃上げの流れを波及すべく、早期に勧告どおり給与改定を実施させていく必要がある。また、各自治体単組においては、人事院勧告、10月上旬に予定されている県人事委員会勧告を踏まえ、賃金水準引上げをはじめ、諸要求前進に向けた労使交渉が本格化する。
連合福島は、労働者全体の底上げの観点で、公務労働者の賃金闘争のヤマ場に向け、連帯して取り組みを支援する。併せて、人事院勧告・県人事委員会勧告は、あくまで労働基本権制約の代償措置であり、公務員の労働基本権の回復と自律的労使関係制度の早期の確立が求められることから、関係する組織と連携し、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。
4.年末一時金闘争の取り組み
一時金は、組合員の生活給として年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。また、業績悪化から例年は秋闘を実施しない組合でも一時金の交渉をする場合が想定される。このことから、年末一時金に取り組む構成組織・加盟組織から支援要請があった場合、連合福島・地区連合推進本部が一体となり、必要な支援行動をとる。あわせて、有期・短時間・契約等で働く労働者についても、均等待遇・均衡待遇の観点から対応をはかることとする。
5.労働関連法に関する取り組み
人口減少が加速する日本は、構造的に生産年齢人口も減少が加速している。日本全体の生産性を高め、「人材の確保・定着」と「人材育成」につなげていくためには、職場の基盤整備が重要である。
したがって、豊かな生活時間とあるべき労働時間の確保、すべての労働者の雇用安定、均等・均衡待遇実現、人材育成と教育訓練の充実など、「すべての労働者の立場にたった働き方」の改善に向けて総体的な検討と協議を行う。
また、企業規模によって法令の施行時期や適用猶予期間の有無・適用除外となるか否かが異なるが、働き方も含めた取引の適正化の観点も踏まえ、取り組みの濃淡や負担感の偏在が生じないよう、すべての構成組織・組合が同時に取り組むこととする。
(1)長時間労働の是正
(2)すべての労働者の雇用安定に向けた取り組み
(3)職場における均等・均衡待遇実現に向けた取り組み
(4)人材育成と教育訓練の充実
(5)60歳以降の高齢期における雇用と処遇に関する取り組み
(6)テレワーク導入にあたっての労働組合の取り組み
(7)障がい者雇用に関する取り組み
(8)中小企業、有期・短時間・派遣等で働く労働者の退職給付制度の整備
(9)短時間労働者に対する社会保険の適用拡大に関する取り組み
(10)治療と仕事の両立の推進に関する取り組み
6.ジェンダー平等・多様性の推進
多様性が尊重される社会の実現に向けて、性別をはじめ年齢、国籍、障がいの有無、就労形態など、様々な違いを持った人々がお互いを認め合い、やりがいをもって、ともに働き続けられる職場を実現するため、格差を是正するとともに、あらゆるハラスメント対策や差別禁止に取り組む。
また、ジェンダー・バイアス(無意識を含む性差別的な偏見)や固定的性別役割分担意識を払拭し、仕事と生活の調和をはかるため、すべての労働者が両立支援制度を利用できる環境整備に向けて、連合のガイドラインや考え方・方針を活用するなどして取り組みを進める。
(1)改正女性活躍推進法および男女雇用機会均等法の周知徹底と点検活動
(2)あらゆるハラスメント対策と差別禁止の取り組み
(3)育児や介護と仕事の両立に向けた環境整備
(4)次世代育成支援対策推進法にもとづく取り組みの推進
7.福島県最低賃金の周知と、特定最低賃金引き上げへの取り組み
県最低賃金周知(11月に新聞掲載予定)・なんでも労働相談ダイヤルチラシを発行し、県民に改正された最低賃金(時間額955円)を周知する。また、特定最低賃金専門部会審議にあたっては、企業内最低賃金のほかに各産業における実態賃金やパート労働者の賃金・高卒初任給などの絶対水準を重視し、例年どおり地域別最低賃金の上げ幅を意識して、可能な限りの引上げをめざす。
8.2025春季生活闘争の準備とさらなる強化に向けた取り組み
(1)第1回組織センター委員会
① 日 時 2024年11月26日(火)
② 場 所 福島市 ラコパふくしま 5階 B会議室
③ 内 容 2025春季生活闘争中小共闘方針の素案づくり、他
(2)地域ミニマムデータの収集について
地域ミニマム運動は、地域の低賃金の底上げ、格差是正などを解消するため「これ以下では働かせない」取り組みとなる。近年、能力成果主義賃金の浸透により個々の格差は広がっている。中央と地方の格差、規模間格差、男女間格差など、地域ミニマムの実態把握とデータの活用を共有化により是正をはかり、実効性のある取り組みとする。
9.広報活動の取り組み
(1)教宣資料を作成・配布するとともに、地場・中小組合を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しながら必要に応じ
てオルグを実施する。
(2)福島県最低賃金(時間額955円)の周知及び「なんでも労働相談ダイヤルに関する周知する。