連合福島は、福島県の復興と再生に構成組織の連帯と力強い支援で取り組んでいます。風評被害を払拭し東日本大震災から一日も早い復興を目指そう!

2023秋季生活闘争方針について

 Ⅰ.取り巻く情勢と課題

1.国内と県内の情勢

政府の9月月例報告によると、「景気は緩やかに回復している。」で据え置いた。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があると報告されている。

物価や経済の動向を踏まえ、今後も、燃料油価格対策への取組を含め、機動的に対応が続く。なお、日本銀行では、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。こうした取り組みを通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成しデフレ脱却につなげるとしている。

中小企業の業況判断DIについては、2期連続して上昇全産業の「業況判断DI(前期比季節調整値)」は、前期(2023年1-3月期)から全産業で2.9ポイント増と2期連続で上昇。産業別に見ると、建設業で4.9ポイント増、サービス業で4.7ポイント増、製造業で3.2ポイント増、小売業で0.8ポイント増、卸売業で0.5ポイント増とすべての産業で上昇。来期見通しは、全産業及び建設業を除く4産業で上昇の見込み。全体的に上昇基調を継続しており、製造業に続いてサービス業、小売業でも上昇傾向にあることから、中小企業においても、一定程度、価格転嫁が進んでいると考えられる。

飲食業の業況は、コロナ前の水準を超えて回復飲食業の「業況判断DI(今期の水準)」は、すべての地域でコロナ前(2019年4-6月期)の水準を超えて回復した。経営上の問題点を見ると、エネルギー等の高騰の影響もあり経費の増加が2位に、経済活動正常化に伴い従業員の確保難が3位に上昇している。

福島県内の状況については、「行き先について不透明感がみられるものの、緩やかに持ち直している」と報告されており、物価高騰・エネルギー高騰の影響があるが、個人消費は、緩やかに回復している。設備投資については、コロナ禍で見送られた投資や能力増強投資がみられており、緩やかに持ち直している。鉱工業生産は、世界的な販売不振に伴うスマートフォン・パソコン向けの生産調整が続いており横ばいとなっている。 雇用・所得環境は、緩やかに改善している。

  昨年より未来づくり春闘「人への投資」を掲げて月例賃金の改善に取り組みを進めてきた。2023春季生活闘争では、連合福島が賃上げ方式を統一した2018年以降では最も高く、ほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した流れを秋季生活闘争にも波及させていく。

Ⅱ.闘争体制の確立

1.連合福島「2023秋季生活闘争推進本部」の設置

1.連合福島「2023秋季生活闘争推進本部」の設置

(1)設置目的 連合福島2023秋季生活闘争の「取り組み課題」を具体的に推進するため。

(2)設置時期 連合福島第18回執行委員会(2023.10.03)で設置する。

(3)役員構成 本 部 長    (連合福島会長)

        本 部 長代行 (連合福島会長代行)

        副本部長   (連合福島副会長)

        事務局長   (連合福島事務局長)

        事務局次長  (連合福島副事務局長)

        本 部 員    (連合福島執行委員)

2.地区連合「2023秋季生活闘争推進本部」の設置

(1)設置目的 連合福島2023秋季生活闘争の「取り組み課題」を地区において具体的に推進するため。

(2)設置時期 10月の各地区連合幹事会において設置。

(3)役員構成 連合福島推進本部に準ずる。

Ⅲ.取り組み課題と方針

1.連合福島の課題と方針 

(1)賃上げの流れを継続し地域全体の広がりをめざす

2023秋闘は春闘の賃上げの波及効果の地域全体の広がりを目指すことで、「すべての労働者の賃金底上げ・底支え」や「規模間格差・雇用形態間格差」など、あらゆる格差の是正をはかる。

(2)労働関連法への取り組み

2019年4月に施行された働き方改革関連法のうち、2024年4月以降トラックを含む自動車運転者の労働時間の上限が960時間に制限される「物流の2024年問題」。生産性の更なる向上と、適正な取引価格の設定による賃金の上昇で、人的資源の確保等による労働環境の向上に向け取り組みを強化する。

(3)すべての働く者の底上げ・底支えの取り組み

すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」をはかる観点からも、まずは、福島県最低賃金を1,030円以上(連合リビィングウェッジ)の早期実現に向けて取り組む。また、特定最賃に関しては「健全な産業の発展」、「公正競争の適正化」の観点から優位性を持った水準に引き上げる。

2.連合福島としての運動の基軸

連合福島の課題のもと、連合福島、各構成組織、地域・地区連合が一体となり以下の取り組みを進める。

① 連合アクション行動を通じた世論喚起

②「なんでも労働相談・メンタルヘルスカウンセリング」強化期間の設定と対応

③ 雇用確保を前提とした、企業縮小・閉鎖、倒産などへの対応

④ 公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み

⑤ 年末一時金闘争の取り組み

⑥ 労働関連法に関する取り組み

⑦ 福島県最低賃金(900円)の周知と特定最低賃金の引き上げの取り組み

⑧ 2024春季生活闘争に向けた準備と、さらなる強化に向けた取り組み

⑨ 広報活動の取り組み

Ⅳ.具体的な取り組み

1.連合アクション行動取り組みの継続・強化

 雇用状況の悪化、非正規労働者を中心とした解雇・雇止め問題や秋闘における一時金闘争等を広く地域社会・勤労市民への共感・共鳴の輪を拡げるため年3回実施する。

2.「なんでも労働相談・メンタルヘルス相談」の強化期間の設定について

 長時間労働問題を軸に、最低賃金改定周知、雇用、権利擁護、労働条件などの相談に応じるための「なんでも労働相談ダイヤル」を連合福島・組織センターとの連携により設定する。また連合福島独自の取り組みとして福島県立医大と連携のもと「メンタルヘルスカウンセリング」をあわせて設定し、12月に実施する。

3.雇用確保、企業縮小・閉鎖、倒産などへの対応

 7月の福島県の有効求人倍率は、有効求人倍率は1.39倍(季節調整値)で、前月を0.01ポイント下回った。引き続き求人が求職を上回って推移しているものの、求人の一部に弱まりの動きがみられる。

企業倒産(7月)は、件数が7件、対前年同月比12.5%減となり、負債総額は、対前年同月比80.5%減となり、2か月振りに前年を下回った。

今後の県内企業の動向を注視し、事象が発生した場合には関係構成組織や行政機関と連携しながら対策を講じると共に、雇用悪化に対する支援策を行政機関や労働局に対して求めていく。

 4.公務員の賃金確定や公務員制度改革に向けた取り組み

 人事院は、8月7日、政府と国会に対し、2023年度の国家公務員の月例給については、民間給与との較差(0.96%)を埋めるため、初任給及び若年層の俸給月額を引上げ、一時金については(0.1ヵ月分)、民間の支給状況等を踏まえ勤勉手当に配分する、前年に続き月例給、ボーナスともに引上げる勧告を行った。

人事院勧告は公務員だけではなく、中小企業の中にはある程度の指標にしている企業もあることで人事院勧告の結果により広範囲な影響が懸念される。

2006年勧告の給与構造改革以降、「制度は国、水準は地場」が基本となる中で、地方における公務労働者の闘いは、県人事委員会勧告に向けた取り組みが焦点となり、中央同様、月例給、一時金ともに地場の水準が引き上げ勧告に結びつくよう取り組むことが最重要課題となってくる。

連合福島は、労働者全体の底上げの観点で、公務労働者の賃金闘争のヤマ場に向け、連帯し取り組みを支援するとともに民主的な公務員制度の確立に向け、引き続き、関係する組織と連携し、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする公務員制度改革の実現をめざしていく。

5.年末一時金闘争の取り組み

 一時金は、組合員の生活給として年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。また、業績悪化から例年は秋闘を実施しない組合でも一時金の交渉をする場合が想定される。このことから、年末一時金に取り組む構成組織・加盟組織から支援要請があった場合、連合福島・地区連合推進本部が一体となり、必要な支援行動をとる。あわせて、有期・短時間・契約等で働く労働者についても、均等待遇・均衡待遇の観点から対応をはかることとする。

6.労働関連法に関する取り組み

(1)治療と仕事の両立の推進に関する取り組み

 疾病などを抱える労働者は、治療などのための柔軟な勤務制度の整備や通院目的の休暇に加え、疾病の重症化予防の取り組みなどを必要としているため、以下に取り組む。

 ① 長期にわたる治療が必要な疾病などを抱える労働者からの申出があった場合に円滑な対応ができるよう、休暇・休業制度などについて、労働協約・就業規則など諸規程の整備を進める。

 ② 疾病などを抱える労働者のプライバシーに配慮しつつ、当該事業場の上司や同僚に対し、治療と仕事の両立支援についての理解を促進するための周知等を徹底する。

(2)ジェンダー平等・多様性の推進多様性が尊重される社会の実現

 性別をはじめ年齢、国籍、障がいの有無、就労形態など、様々な違いを持った人々がお互いを認め合い、やりがいをもって、ともに働き続けられる職場を実現するため、格差を是正するとともに、あらゆるハラスメント対策や差別禁止に取り組む。

(3)改正女性活躍推進法および男女雇用機会均等法の周知徹底と点検活動

 改正女性活躍推進法および男女雇用機会均等法について、連合のガイドラインにもとづき、周知徹底とあわせて、法違反がないかなどの点検活動を行う。また、労使交渉・協議では、可能な限り実証的なデータにもとづく根拠を示し改善をはかる。

 改正女性活躍推進法にもとづく事業主行動計画策定や情報公表義務が101人以上の事業主まで拡大されたことを踏まえ、企業規模にかかわらず、すべての職場で「事業主行動計画」が策定されるよう事業主に働きかけを行う。策定にあたっては、企業規模にかかわらず「男女の賃金の差異」を把握するよう事業主に働きかける。

(4)あらゆるハラスメント対策と差別禁止の取り組み

 職場のハラスメントの現状を把握するとともに、カスタマー・ハラスメントや就活生などに対するハラスメントを含むあらゆるハラスメント対策や差別禁止の取り組みを進める。その上で、労働協約や就業規則が定めるハラスメントや差別に関する規定やガイドラインを確認し、その内容が法を上回る禁止規定となるようさらなる取り組みを進める。

(5)育児や介護と仕事の両立に向けた環境整備

 改正育児・介護休業法について、周知徹底とあわせて改正内容が実施されているかなどの点検活動を行うとともに、連合の方針等にもとづき、以下の課題に取り組む。

 ① 改正育児・介護休業法で定める事業主が雇用管理上講ずべき措置(雇用環境の整備、個別周知、意向確認)が行われているか点検し、「雇用環境の整備」については複数の措置を行うよう労使協議を行う。

 ② 育児や介護に関する制度を点検するとともに、両立支援策の拡充の観点から、法を上回る内容を労働協約に盛り込む。

 ③ 有期契約労働者が制度を取得する場合の要件については、改正法に定められた「事業主に引き続き雇用された期間が 1 年以上である者」が撤廃されているか点検したうえで、「子が1歳6カ月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでないこと」についても撤廃をはかる。

 ④ 育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、短時間勤務、所定外労働の免除の申し出や取得により、解雇あるいは昇進・昇格の人事考課等において不利益取り扱いが行われないよう徹底する。

 ⑤ 妊産婦保護制度や母性健康管理措置について周知されているか点検し、妊娠・ 出産および制度利用による不利益取り扱いの禁止を徹底する。

 ⑥ 女性の就業継続率の向上や男女のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、出生時育児休業(産後パパ育休)の整備など男性育児休業取得促進に取り組む。

 ⑦ 両立支援制度や介護保険制度に関する情報提供など、仕事と介護の両立を支援するための相談窓口を設置するよう求める。

 ⑧ 不妊治療と仕事の両立のため、取得理由に不妊治療を含めた休暇等(多目的休暇または積立休暇等を含む)の整備に取り組み「くるみんプラス」の取得をめざす。

 ⑨ 女の更年期、生理休暇などの課題を点検・把握し、環境整備と制度導入に向けた取り組みを進める。

 ➉ 業所内保育施設(認可施設)の設置、継続に取り組み、新設が難しい場合は、認可保育所と同等の質が確保された企業主導型保育施設の設置を求める。

 (6)次世代育児休業法にもとづく取り組みの推進

 ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた労働組合としての方針を明確にした上で、労使協議を通じて、計画期間、目標、実施方法・体制などを確認し、作成した行動計画の実現をはかることで「トライくるみん」「くるみん」「プラチナくるみん」の取得をめざす。また、取得した職場において、その後の取り組みが後退していないか労使で確認し、計画内容の実効性の維持・向上をはかる。

7.福島県最低賃金の周知と、特定最低賃金引き上げへの取り組み

 県最低賃金周知(11月に新聞掲載予定)・なんでも労働相談ダイヤルチラシを発行し、県民に改正された最低賃金(時間額900円)を周知する。また、特定最低賃金専門部会審議にあたっては、企業内最低賃金のほかに各産業における実態賃金やパート労働者の賃金・高卒初任給などの絶対水準を重視し、例年どおり地域別最低賃金の上げ幅(地賃対比110%以上の確保)も意識して、可能な限りの引上げをめざす。今年は4業種で、業種間の相乗効果を高めながら、有額回答にこだわる審議を行なう。

8.2023春季生活闘争の準備とさらなる強化に向けた取り組み

(1)第1回組織センター委員会

  ① 日 時 2023年11月29日(水)

  ②  場 所 福島市 ラコパふくしま 5階会議室

  ③  内 容 2024春季生活闘争中小共闘方針の素案づくり、他

(2)地域ミニマムデータの収集について

 地域ミニマム運動は、地域の低賃金の底上げ、格差是正などを解消するため「これ以下では働かせない」取り組みとなる。近年、能力成果主義賃金の浸透により個々の格差は広がっている。中央と地方の格差、規模間格差、男女間格差など、地域ミニマムの実態把握とデータの活用を共有化により是正をはかり、実効性のある取り組みとする。

9.広報活動の取り組み

(1)教宣資料を作成・配布するとともに、地場・中小組合を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しながら必要に応じてオルグを実施する。

(2)福島県最低賃金(時間額900円)の周知及び「なんでも労働相談ダイヤル」・「メンタルヘルスカウンセリング」に関する周知する。

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